2009年1月13日火曜日

10年越しのかゆみ

その方は、診察室にはいるなり、こうおっしゃいました。
「先生はアレルギーが専門ということですよね。期待してきました」
こちらから、質問させていただく前ですから、よほど切羽詰まった状況なのかと思い、尋ねてみると
「10年来、体が痒くて仕方がないのです」とのこと。
とくに湿疹ができたり、皮膚が赤くなったりということはないのに、かゆみだけが取れない。いったんかゆいと思うと、さらにかゆくなるとのことで、どこの病院、医院へいっても治らないということです。
最近ではあきらめ、一生我慢しようと思ったこともあるとか・・・。
お話を伺い、さぞつらかったろうなと、思いつつ診察をさせていただきました。
思ったとおりの肝胆湿熱証でしたので、○○○湯を処方しました。
「漢方薬だと、長く飲まないと聞かないんですよね」と、帰りがけにおっしゃるので、
「そんなことありません。2週間で効果はでます。もし効果がなければ、私の診断が間違っていることになりますから、遠慮なくおっしゃってください」とお返事をしました。
「2週間ですか、ハハハ・・・」と、笑いながらその方は帰っていかれました。
で、2週間後、その方が再診にいらっしゃいました。
診察室に入ってくるなり、顔が真剣です。
(こりゃ、処方がきかなかったかな?)と、思いながら恐る恐る「どうでした?お薬」ときくと、その方はまじめな顔で答えられました。
「あの薬、劇薬か、なにか混ぜてますか?」
「はっ?製薬会社で作られたものですから、他の薬なんか入りっこないですよ」と、答えると
「かゆくないんです。かゆみが止まっているですよ」とのこと。
わかっていたとはいえ、漢方薬の速効性にも、そして何より、その方の表情に驚かされてしまいました。

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