2009年1月31日土曜日

そりゃ、治らないよ

漢方治療のみならず、一般に当てはまることですが、どんなに治療してもよくならないことがあります。
生活習慣が原因です。
タバコ、お酒、甘いもの・・・
いわゆる内傷に関係する生活習慣病です。
とくに、湿疹やアトピーに関しては、これら内傷は治療を妨げる大敵です。
けれど、病気を治す以上に大変なのは、これら生活習慣を改善することでしょうか。
コレステロールだけじゃないんですよね。

2009年1月20日火曜日

小青龍湯とアレルギー性鼻炎

花粉症の季節が近づいてきました。
今年は、関東地方に限れば、例年の1.5倍の飛散量だとか。
さまざまな花粉症の治療薬がありますが、漢方薬となると何故か、小青龍湯に限られてしまうのが、不思議です。
前に勤めていた病院では、となりで「アレルギー専門医」の先生が
「花粉症には、西洋薬のコースと漢方薬のコースがあります。西洋薬は眠くなりますが、漢方薬は眠くなりません」と、患者さんに説明していたのを思い出しては、笑ってしまいます。
小青龍湯は、本来「外感風寒」の証に用いる処方ですから、診察して、熱証があれば、当然よくなりません。また、麻黄が入っていますから、お子さんに連用すると、陰を傷つけてしまい、むしろ虚熱を誘発しやすくします。
私が診ている患者さんが、たまたまなのか、あまりこの外感風寒の証にはお目にかかりません。
むしろ風熱型や湿熱型のアレルギー性鼻炎の方が多いような気がします。
また、お子さんでは圧倒的に衛気虚の方が多いので、むしろ○○風散を処方して、著効することがおおいです。唯一の欠点は、「飲みにくい」ことでしょうか(苦笑)。

2009年1月15日木曜日

今年の冬は寒いですね

体の芯から冷えるような日々が続いています。
当然のことながら、冷えで悩める方が多く受診されています。
ある方は、20台のころから冷えに悩んでいらっしゃったとのことで受診されました。
入浴後もすぐに冷えてしまうとのこと。
いったん冷えてしまうと、布団に入っても温まらず、結局入浴しなおしたり、布団を乾燥機で暖めたりと苦心なさっているとのことでした。
診察をすると、圧倒的なオケツ症状にくわえ、腎に寒邪が入り込んでいる状況です。
●▲■丸を処方させていただいて、様子をみることにしました。
2週間後、再診されたときのこと。
「いかがでした?」と伺えば、「80%の改善です!」とのこと。
今年はこんなに寒いのに、今までの冬より快適に過ごせているとのことでした。

2009年1月13日火曜日

10年越しのかゆみ

その方は、診察室にはいるなり、こうおっしゃいました。
「先生はアレルギーが専門ということですよね。期待してきました」
こちらから、質問させていただく前ですから、よほど切羽詰まった状況なのかと思い、尋ねてみると
「10年来、体が痒くて仕方がないのです」とのこと。
とくに湿疹ができたり、皮膚が赤くなったりということはないのに、かゆみだけが取れない。いったんかゆいと思うと、さらにかゆくなるとのことで、どこの病院、医院へいっても治らないということです。
最近ではあきらめ、一生我慢しようと思ったこともあるとか・・・。
お話を伺い、さぞつらかったろうなと、思いつつ診察をさせていただきました。
思ったとおりの肝胆湿熱証でしたので、○○○湯を処方しました。
「漢方薬だと、長く飲まないと聞かないんですよね」と、帰りがけにおっしゃるので、
「そんなことありません。2週間で効果はでます。もし効果がなければ、私の診断が間違っていることになりますから、遠慮なくおっしゃってください」とお返事をしました。
「2週間ですか、ハハハ・・・」と、笑いながらその方は帰っていかれました。
で、2週間後、その方が再診にいらっしゃいました。
診察室に入ってくるなり、顔が真剣です。
(こりゃ、処方がきかなかったかな?)と、思いながら恐る恐る「どうでした?お薬」ときくと、その方はまじめな顔で答えられました。
「あの薬、劇薬か、なにか混ぜてますか?」
「はっ?製薬会社で作られたものですから、他の薬なんか入りっこないですよ」と、答えると
「かゆくないんです。かゆみが止まっているですよ」とのこと。
わかっていたとはいえ、漢方薬の速効性にも、そして何より、その方の表情に驚かされてしまいました。

2009年1月10日土曜日

西洋薬で痛みがとれないときこそ、漢方の出番です!

私は、卒業後、専門がリウマチ、膠原病、血液疾患といった「免疫異常」をもとにした病気を中心にしてきました。
特に、痛みを伴う疾患であるリウマチに関してはとても治療に苦労することが多かったです。
何が、そんなに大変なのか?
それは、痛み止めが効かないことです。
どんなに良い、新しい痛み止めが発売されても、リウマチの患者さんには、あまり効果が上がらないことが多かったです。
ところが、中医学を勉強した後、世界はかわりました。
西洋薬の痛み止めが効かない患者さんの、痛みの区別が付くようになったのです。
ある方は、熱をもってしまっての痛み。また、別のかたは、寒さが体に入ってしまっての痛みといった具合です。
中医学ではリウマチを痺症といいます。
これには、さらに、寒、熱、湿、風が鑑別の対象となるのですが、診察と証の区別で使う処方を分けていきます。
実際、西洋薬で痛みの止まらない患者さんに、診断結果を話したうえで処方をさせていただくと、なんと、痛みが止まるではありませんか!!(自分の経験での奏効率は8割です)
それも、処方して2週間で効果が出てくるかたがほとんどです。
漢方薬は速効性があると実感していますが、これほどとは思いませんでした。
今は、西洋薬と漢方薬のバランスを考えながら処方をしている日々です。

2009年1月9日金曜日

中医学に入って行ったきっかけ-2-

と、いういきさつで、中医学の猛勉強をしました、ハイ。
勉強しながら思ったことは、何といっても医学部での漢方治療講義のオソマツだったこと。
期末試験にいたっては、漢方薬の読み仮名を書くだけ・・・。
これで、医者になったら漢方薬が処方できてしまうんですから、いい加減なもんです。

はてさて、約半年間の勉強やら、セミナーでなんとか診断能力がつくようになって、自分の症状の診断(証)をしました。その結果を整体の先生に告げると、「ま、そんなとこなんじゃない」と、一応合格。自分で処方はできないので、知り合いの中医学の先生を紹介してもらい、診断を受けると、自分の診断と同じで、出された処方薬も一緒。●●●湯を飲み始めたのでした。
最初から、中医学の先生を紹介してくれれば楽だったかもしれませんが、自分で勉強する時間を与えてもらったことに感謝しながら、この薬をのんで、2週間で完治!!
自分が一番驚きました。
漢方薬は長く飲まないと効果が出ないという医者の何と多いことか!
それからというもの、中医学のセミナー、勉強会に参加しながら日々研鑽を積んでおります。

ついでに、この●●●湯、飲み続けています。
理由は・・・、またの機会にお話します。
(製剤名を明らかにしないのは、同じ薬を適切な診断を受けずに飲まれる方を避けるためです。漢方薬はネットで購入できてしまいますので。きちんと、医者、薬剤師の診断を受けたうえで、漢方薬は内服しましょう)

2009年1月8日木曜日

中医学に入って行ったきっかけ ‐1‐

はじめまして。
神奈川県の足柄上郡大井町で開業医をしています、「前川」と申します。
家庭のかかりつけ医を目指し、日々奮闘中でおります。

このブログを立ち上げるきっかけになったのは、自分自身の漢方治療の経験と、また日常の臨床から浮かび上がってきた、漢方治療の誤解をとくためという、大上段に構えた思いからです。
こんなに大風呂敷をひろげていいものか?と、おもいますが、気軽にお付き合いください。

自己紹介としては何ですが、私の漢方薬による治療についてお話します。
いまからさかのぼること7年前ですが、右手人差し指に湿しんができはじめました。
はじめは、何かに感染したのか、はたまた消毒薬にでもカブレたかと思い、ステロイド入りの軟膏を処方してもらって様子をみていました。
ところが、いつまでたっても治らないばかりか、益々拡大していったのです。
気が付いたら、赤くはれ上がってしまう始末・・・。
皮膚科の先生にもステロイドを内服したらといわれましたが、拒否していました。
そうこうしているうちに、ひょんなことから知り合った整体術の先生から一言いわれたのが、漢方薬との出会いでした。
むしろ漢方というよりは、中医学(ちゅういがく)と、言ったほうがいいのですが、その先生いわく、
「あー、こりゃステロイドじゃ治んないよ。原因は別だから」とのこと?
「はっ?別ってなんですか」と、聞き返せば、
「ストレスに不摂生だよね、肝臓の問題だから」とのお返事?
「???」頭のなかに疑問がでても、なんて聞いていいのか分からずにいると、つづけて
「勉強してみれば?」とのこと。
さっそく、漢方の治療体系を勉強することにしたのでした。