2009年8月28日金曜日

リウマチ治療における漢方薬の誤解

漢方薬のサイトやブログで「リウマチが治った」という表現、ニュアンスをよく見かけます。
治るのかもしれませんが、大きな誤解をされているところもあるようなので、私見を述べさせていただきます。
リウマチの治療は、2つの大きなカテゴリーがあります。
ひとつは、「関節の痛みをとる」こと。そしてもうひとつは、「関節の破壊を抑制する」ことです。
これら2つはまったく別の治療方針を取らねばならないことに注意が必要なのです。
リウマチ治療に漢方薬を取りあげているサイトでは、むしろ、痛みをとる治療に比重がおかれている気がします。
確かに、西洋薬では痛みをとる治療薬というと、ステロイド剤かもしくは、非ステロイド性の消炎鎮痛薬しかありません。これらで取れる痛みは、正直もうしあげて限られています。
その点漢方薬は、個別の痛みに対して、まったく異なる処方をすることができる点で、非常にすぐれていますし、有益であります。このブログでも何人かの患者さんの実例を紹介しているのも、漢方薬の特筆すべき点を認めているからです。

しかし、ここに落とし穴があります。
つまり、痛みがないことはリウマチが「治った」ことにはならないからです。
先にあげましたように、漢方薬が関節の破壊を抑制できるか?については、十分な論拠がないのです。実際に痛みがなくても、関節の変形が進んでいく方もいます。ここが、最も注意しなければならない点です。
関節破壊の抑制という視点では、圧倒的に西洋薬の方が実績があります。
そういう意味からすれば、現在リウマチの治療においては、西洋医学と東洋医学の理想的な融合が可能な時代になったのだと思っています。

2009年8月13日木曜日

ついに来ました

夏休みの部活合宿などで、新型インフルエンザが増えています。
そして、つい最近、当院にも、疑い患者さんが受診されました。
簡易検査では一人のみA型でした。
しかし、集団で発生していることから、保健所が対応して、精密検査をすることに。
翌日、「新型でした」の報告。
ついに来たか~と、思いました。
早速、その日から、銀ぎょう散と、バンランコンを服用開始としました。
そして、1週間経過となり、発症はしませんでした。
これで、貴重な「新型インフルエンザの生ワクチン」を、頂いたことになります。
感謝は、銀ぎょう散とバンランコンと患者さんに致しました。
*危険ですから、マネはしないでくださいね。自分に銀ぎょう散が合っているのかは、必ず医師、薬剤師に相談して使用してくださいね。

2009年8月8日土曜日

シェーグレン症候群

目や口のかわき、虫歯ができやすい、ご飯が食べにくい、といった症状が中心の病気です。
圧倒的に女性に多い病気です。
問題は治療方法が西洋医学では、「対症療法」しかないことです。
しかし、漢方の世界では立派な治療法があります。
●●●●丸がそれです。
つい最近も、シェーグレン症候群の方がお見えになりました。
と、いっても当院へは冷えを何とかしてほしいとのこと。
「シェーグレン症候群の症状は、大丈夫なのですか?」と、伺うと
「だって、どこいっても治療法がないっていわれたので・・・」と、つれないお返事。
「西洋医学的には、そうですね。対症療法しかありませんよね」と言いつつも、肝腎陰虚証を確認。
冷えの漢方薬として、●●●●丸を処方させていただきました。

再診の日。
冷えはかなり改善したとのこと。
「で、乾燥症状はどうですか?」と、伺うと
「あら、そういえば、軽くなってますね。冷えが治ったからかしら」とのこと。
もちろん、対症療法の西洋薬はつづけていただいていましたが、この●●●●丸を加えて、さらに改善したことを確認できて、一安心。
一石二鳥の効果が得られたというところでしょうか。

2009年8月6日木曜日

4年前の打撲も2週間で治りました

その方は、腰痛がひどくて仕事ができないということでいらっしゃいました。
いつから腰痛があるのか伺うと、なんと4年前からと。
詳細を伺えば、仕事中に転んで、腰を打ってしまったとか。
「はじめはそんなに痛くなかったんだけどね~。だんだん痛くなってきて、今年にはいってから、もう駄目って感じになったんで・・・」
さすがに、椅子から立ち上がったり、布団から起き上がれなくなったとのことでした。
気になるのは、治療をどうしていたのか?と、いうこと。
この点を質問すると、「市販の痛み止め、シップを使ってた」とおっしゃいました。
舌証をみると、この暑さにも関わらず、オ血に寒証です。
「冷え性なんですね」と、いうと「夏でも冷房が大嫌い。このくらい熱いのがちょうどいいんだけど、家族が冷房をつかうので、困ってしまう」とのことでした。
こうなれば、処方は●●●●湯で、決まりです。
本日2週間内服で再診していただいたとき、入ってくるなり
「いやー、楽になったよ。もっと早くくればよかったよ」と、笑顔でお話されました。
4年間のこじれた痛みも、2週間あれば効果がでるんですね。
もちろん、方剤が証にあっていればの話ですが。

2009年8月4日火曜日

蝉とかゆみ止め

この前の休日、子供たちと蝉取りに行きました。
シャワーのような蝉の鳴き声に誘われ、自宅近くの公園に行き、蝉を捕まえ、自宅へ帰ってきたときのことです。
突然、屋根からトビが舞い降り、隣の家の外壁に止まっていた蝉があわてて飛ぶと、見事にキャッチャして、飛び去って行きました。
あっという間のできごとで、見事なものだなと思いながらも、トビも「かゆみ止めに使うのかな」と、ふと思ってしまいました。
と、いうのも、最近、風熱証の湿疹の方を多く拝見していたからです。
処方に出すのは、蝉ではなく、蝉退(セミの抜け殻)を薬味にもつ●●散。
もちろん、医薬用のものですから、子供たちが蝉と同時に喜んで拾っていった、抜けがらを使っているわけではありません、念のため。
その日以来、我が家では玄関口で蝉の抜け殻が、お出迎えをしています。